和裁士さんのこだわりに触れて

一般的に”着物の仕立て”というと、反物を購入した呉服屋さんで一連の流れのようにお願いすることが多いと思う。

同じ呉服屋さんで、同じ寸法で誂えてもらっても、着心地が違うとかいう話はよく耳にすること。

頼んでいる呉服屋さんは同じでも、毎回同じ和裁士さんが仕立ててくれているとは限らないし、生地(素材)によっても仕上がりに違いが出てくることはあるだろう。

 

この度の5月のイベント開催がきっかけで巡り合えた和裁士の山口しずかさん。30年のキャリアを持つベテランで、自身の仕事に誇りを持ち芯の通ったお仕事ぶりが好評の職人さん。

札幌きもの遊びでトークコーナーをやってもらう手筈だったが、直前に体調を崩され実施できなくなり、6月29日と7月5日に単独開催の運びとさせていただいた。

 

着物の仕立てについて、一般の方が和裁士さんから直接お話を伺う機会はなかなかないチャンス。

今回は初めての方にもわかりやすく、3つのテーマでお話をしていただいた。

 

1.くじら尺とメートル法/基本寸法とマイサイズ/長襦袢との関係

https://youtu.be/ok5vKBhGtd0

 

2.繰り越しと衣紋の構造/衣紋の形あれこれ

https://youtu.be/uT8Ot4-vxME

 

素材による寸法の加減・お端折りが決まりやすい寸法取り・肩幅と袖幅のバランス

https://youtu.be/NT5ogG5waac

 

腕が長いから裄を出せば良いというものではなく着物にも黄金比があること、着る人の好み(衣紋に関することだけなく)の着方を実現するための仕立ての技があることなど、目からウロコ!の話が満載である。

それぞれ内容は動画を観ていただけると幸いです。

 

着物はシワなく綺麗に着ることが全て、目標(?)ではない。

その考えを、しずかさんはこう表現した。

『「たおやかに」「なりに」身に纏う』

なんと美しい言葉!日本語らしいというか、なんとも情緒のある言葉だろう

そう!まさにそう!なのだ と妙にシックリきた。

着物で暮らすからこそ出てくる言葉なのだろう。

 

自分で着る着物とフォーマルなどの着せてもらう着物がある、という考え方。

サイズ感も神経質にならずにゆるり考えよう、という姿勢。

着方でなく仕立てで解決することもある、という職人の意識。

 

しずかさんのこだわりや技術の高さ、長年続けてきたからこその豊富な知識。

愛を持って生地に向かう丁寧さ。など、改めて着物を考えさせられる機会だった。

 

これらの動画は多くの方にご覧いただき、より着物への関心を深めてほしい。

こういった知識を身に付けた上で、自分はどう着物を楽しみたいのか?どんなふうに装いたいのか?感じてもらえたらと思います。

 

しずかさんの経歴などインタビューした動画もご覧くださいませ。

https://youtu.be/whiMr8k5jT8

 

仕立てまでもを人任せにせず、マイ仕立て屋さんを持って楽しむ着物というのもいいですね。

頂き物のお直しなどのご相談にものっていただけます。

 

札幌 和しごと・手しごと | LINE 公式アカウント

 

いつも笑顔で、その柔らかさの奥に凛とした光を持つ山口しずかさん。

ご縁に感謝です。