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変わりゆく着物、振袖も然り

日本の民族衣装である”着物”

考えてみると、世界で民族衣装と言われるもので形が変遷していくものってあるのだろうか。

「日本衣服史」という本を読んだが、着る物は時代と共に変わっている。

”着物”と呼ばれるものも、時代と共に変化している。とすると、日本の民族衣装なるものは、どの時代のそれを指しているのだろう。

 

この時期、秋の紅葉をバックにロケーション撮影が多くなる。

成人の前撮りが常識になった現代。以前はロケーション撮影に結構な費用がかかっていたが、今は普通。なんなら、スタジオ撮影よりもお得感さえあるのではないだろうか。

データで納品も当然のこととなり、この十数年でその事情も大きく変わっている。

 

成人の振袖、卒業式の袴。と、レンタル業界はそこが稼ぎどころだろう。

卒業袴のレンタル料金が爆上がりしているのには驚く。

振袖レンタルに2,30万円。袴レンタルに10万円。このくらいが相場か。

 

その着物にも流行が著しい。

その昔、、着物は流行がないから なんて言われていた。それを鵜呑みにしている方もまだまだ多くいる。

着物愛好者には、当たり前のことのようになっているが、近年、着物の素材は多岐にわたる。

絹、綿、麻、ウールといったところがベーシックだとしたら、ポリエステルにとどまらず、デニム生地、ジャージ素材、スーツ生地、レース素材と何でもありだ。

それが、小紋や紬のような普段着物、カジュアルなもののみならず、振袖までもそのような素材で作られるようになっている。

 

かつて、大島紬の訪問着が登場した頃(?)着物の格に関する考え方が揺らいだ。

本来、”紬”というものは普段着の部類で、結婚式などフォーマルなシーンには着るべきではないという説がある。

しかし、”訪問着”はフォーマルな着物、、さて、これはフォーマルかカジュアルか、、

当時は結局、訪問着とはいえ紬であるから正式なフォーマルシーンには不向き、ということだった。

 

それが、振袖の類にもやってきた。

振袖は未婚女性の第一礼装。ではあるが、2024年(令和6年)ともなれば、そんなことはお構いなし!

ファッションとしてしか考えられなくなっているということだろう。

デニム生地の振袖、レース素材の振袖が出回り、それをなんの違和感も感じずに成人式に着て出る。

時代はどんどんカジュアルになっている。(良い悪いのジャッジは無しにしましょう)

 

私の考え方としては、こうでした。あえての過去形(笑)

訪問着もフォーマルなものとカジュアルなものがある。その違いは柄。

古典柄やそれに類するものはフォーマルに。式と名の付く場や、母として、妻としてなど立場をわきまえなければいけないシーンに向く。

反して、幾何学柄や粋な柄ゆきのものはフォーマルであってもカジュアル寄り。”正装”というよりは”盛装”。パーティーや派手に自分が主役になって良い場向き。といったとこだろうか。

振袖もそのように考えたいところだが、その理論が届かないところまでいってしまったようだ。

 

業界も、売るためにルールを作ったり壊したり、必死なのだ。

私は自由に楽しむ着物が好きである。だが、型を知ったうえで型を破る楽しみ方でありたいと思う。

なので、若い世代には基本のルールを伝えた上で自由に楽しもう、と常々話している。

もう、そんな時代も終わりに近づいているのかな と、ふと思う今日この頃です。

 

古い振袖をお嬢様のお好みに合わせてコーディネートする仕事。

古き良きものを、新しい感覚に魅せる!

そこを心がけ、帯を探し、帯揚げ・帯締め、半襟・重ね襟、草履バッグ、ヘアスタイル・メイクに至るまで、トータルにスタイリングしています。

「この着物が、ここまでイメージが変わる!」と驚かれる、喜ばれるお顔を想像しながらセレクトしています。

新しいものばかりでなく、あるものを活用し、周りをも笑顔にする着物、振袖姿を創っています。